2.終わりと始まり

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「なにか話した?」 「はい、金曜日はあれからどこか行ったのって聞いてみたんです。みちるは、カラオケ行きたかったけど、他に行く人いなくて諦めましたって。クリスマスの金曜日だもんねって言ってました。みちるって、彼氏いないそうですよ」 朝のちょっとの挨拶で、そこまで話を引き出せるって、あや美すごい…。 「ますます分からないね」 考えこもうとした私に、あや美が畳みかける。 「芽衣子さん、それで?本部長はなんか言ってました?」 ああ、そうだった。 「本部長、かなりムカついてたと思うよ。私の不始末なのにさ…犯人挙げろって」 「えっ?」 「えっ?だよね。あや美もご指名よ。2人で、この件の後始末をしろと。不愉快なんだって」 はぁ…とため息を漏らすと、あや美は勢い込んで迫ってきた。 「なら!芽衣子さん、やりましょう。みちるを追及しましょうよ!」 私には迷いがあった。みちるへの贖罪の気持ちを示すなら今なんじゃないかとも思っていた。でも…。 「まだよ。みちるにはそれとなく聞くだけにして。そうね…例えば、私に対する感情とか」 あや美は、うんうんと頷く。 「もし、話の流れが掴めたら、忘年会の後、会費が合わなくて大変だったと言ってみて。さも私が数え間違いをしでかしたかのように」 「なるほど。陽動作戦ですね!」 あや美の瞳が輝き出した。普通に仕事もしろよ。
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