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四方堂君と別れたあと、アパートに戻ってベッドに入るまで、彼のことは考えなかった。
只々、年が明けたらもう四方堂君と一緒に仕事をすることがなくなるんだとの、寂しい気持ちだけが私の心を占めていた。
「いつかこんな日が来るってこと、考えとくべきだったな」
深いため息と共に気持ちを声に出した。
真っ暗な部屋の中で横になり、目は開けたまま、ここ最近の出来事を思い返す。
『四方堂君の婚約と異動がセットで私を襲うとこだった』
あの日、あんな事がまとめて起きなければ、そういうことになっていた。次の日には、四方堂君は私と話したがっていたんだから。
そうだとしたら、もしかしたら天の采配なんじゃないかしら?四方堂ショックを和らげるための。
私の守護神が、私を守ろうとして、いろんな仕掛けを施した。
『なぁんてね。んなことあるかいな』
『明日は…あ、朝礼だったか』
朝礼がなければ、朝一で先方に出向き、忘れた書類封筒を受け取りたかったけれど仕方がない。
あの担当者にメールを送ったことだし、もしかしたら届けてくれるかもとの甘い期待も無きにしもあらず。
それと…みちるのこと、どうしよう。やっぱり、本部長直々の用件だし、結果は早急に出さなければならない。
この件は、あや美が頼りだ。みちるとの折衝はあや美に任せよう。
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