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「四方堂君は、滝沢さんがUSBを…と考えてる?」
私は率直に聞いてみた。
「滝沢さんが取ったなら、守谷さんに渡す時になにか口止めのような事を言った。だから、あんな内緒話をするみたいな感じに、とはならないか?」
なるほど。実際目にした印象というものは、案外的を射ているものだ。
なら、理由は?私が困ることをわざとしたという理由…私なのか、会社に対してなのか。
「あっ!」
あや美が急に声をあげたので、私も四方堂君もハッとした。
「なに?」
「どうした?」
あや美はちょっと口をパクパクしてから、「思い出した!」と言った。
「みちるは、さっきこう言ったんです。松浦さんに来客があった『そう』ですって。私、変な言い方だなって思って。そしたら芽衣子さんがその人帰ったかって聞いて…」
私はその時のやり取りを思い出していた。確かにそうだった。
「みちるは、はい『多分』って答えてました」
「それは俺の考えを確かにする証拠だな」
「はい!」
とすると、滝沢さんが本当に?
「なんで?なんで、彼女がそんなことを?」
四方堂君は息を吐き、背筋を伸ばして、私を真っ直ぐ見つめた。
「分からないが…芽衣子、これはなにかしらの悪感情から来る嫌がらせなんじゃないかな?本人に心当たりがなくても、相手が一方的にそういう思いを抱いていることは良くあることだ」
なんだこれ?デジャヴ?最近、これとおんなじ事あったよね…。
と思っていたら、あや美がまたしても素っ頓狂な声をあげた。
「あっ!会費ドロ!まさかまさか、それも滝沢さんなんじゃ?」
「うん、俺もそれ、考えてた」
四方堂君が声を落として、あや美のボリューム調整をしてくれた。
みんな、考えることは一緒だ。
「なら、この際、追及するなら滝沢さんてことで、彼女を呼び出そう」
あや美ぃ、ちょっと荒っぽくない?
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