3.不信

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さっき、30分遅れで滝沢さんはランチに出掛けて行った。 1時少し前にあや美とみちるが戻ってきた。私は、今日もあや美にサンドイッチと飲み物を頼んでいて、食事の入った袋を受け取ると、まずあや美からの報告を受けることにした。みちるはトイレだ。 私たちは、ミーティングルームで急いで話した。 「どうだった?」 「芽衣子さん、結論から言いますと、みちるは白ですよ。絶対。滝沢さんとの共犯でもないです」 おやおや?まさか、懐柔されたか? 「具体的な話の内容、教えて」 食事を取りながらあや美の話に耳を傾ける。 「まず、みちるには、芽衣子さんには参るわぁと言ってみたんです。あ!もちろん、本心ではないですよ!芝居です芝居」 「分かってるから」 「そしたら、みちるは『しょっちゅうですからね』って。でも、本当にUSBどこ行っちゃったんだろうとか、私にも責任あるかなぁとか、言ってました」 なるほど、確かにみちるは白っぽい。あや美は続ける。 「空かさず、芽衣子さんたら忘年会の時もやってくれちゃって、会費もちゃんと集められない人なのよ。数え間違いもしたみたいで、あの後大変だったって言ったんです」 あや美は鼻息荒く、勢い込んで話していた。 「そしたらみちる、かなり驚いていて、幾ら足りなかったのとか、その後どうしたのとか、心配していたんです」 この感じだと、やっぱり怪しいのは滝沢さん1人ということで、みちるの線は消えるかも知れない。ただ、全てを知らないままか、または一部知らされないまま、みちるが共犯になっていた可能性はある。
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