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「芽衣子さん」
あや美が改まって私を見つめてる。
「ん?」
「みちるは、ショーツを盗った人が誰なのかは分からないと言ってます。だから、みちるがその事で誰かに嫌がらせをする根拠は薄いと思います」
「うん、そうだね」
それと、とあや美は更に続けた。
「みちる、芽衣子さんとは親しく話したことはないけど、悪くは思っていないそうですよ」
「そこ、聞いてみたの?」
「はい。ただ…日頃から滝沢さんが芽衣子さんを落とし込むような話し方をされているので、滝沢さんとの関係もあって、芽衣子さんと親しくするのが難しいんだって言ってました」
「そっか…」
やっぱり黒幕は滝沢さんか。
それにしても、滝沢さんがそんなふうに思っていたとは。予想はしていたが、実際に聞くと寂しさがひと塩だ。
私は四方堂君にラインを入れた。さっきはオフィスにいなかった。
滝沢さんが戻ったら、本人に直接当たろうと思っていた。
ただ、良くあるような女同士のイザコザにしたくない。だから、四方堂君に立ち会ってもらって、USBの在り処を聞き出す。それと、会費の件と…。
四方堂君からの返信があり、他部署にいるから、戻ったら自分が滝沢さんに声を掛けるから、との事だった。
待ちながら、私はいくつかの仕事を持ち帰る準備と、机の周りの片付けを並行した。
あや美は買い出しだった。もう間もなく戻るだろう。
午後3時を過ぎていた。シュレッダー作業中の滝沢さんとみちるを遠目に見ていたら、四方堂君が戻ってきた。
私に視線を投げてから、滝沢さんたちに声を掛けていた。いよいよだ。
私はあや美にLINEを送ってから、ミーティングルームへ、3人のあとを追って行った。
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