3.不信

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「ええ…その通りよ」 どこかのタイミングで、きっと聞かれると思っていたようだった。会費と聞いても、なんの動揺もなく、滝沢さんはあっさりと認めた。 「松浦さん」 改まって私を真っ直ぐ見つめてくる滝沢さんは、なんだか落ち着き過ぎて怖いくらいだった。私は、はい、と返事をした。 「あなたは、自分が周りの人たちからどんなふうに見られているか、知っていますか?」 え、そういう話? 「どうって…まぁ、そうね…私は、厄介者、かな?馬鹿でドジでマヌケのお荷物社員」 意外なことに、ここで滝沢さんはクスッと笑った。『え?』 「私もそう思ってる」 だよね。だからなに? 「でもね、あなたは皆から愛されてる。私なんかのフォローなんて必要なかった。皆はあなたを気にして、なにかあれば安安と手を貸すし、励ましたり、あなたがミスして落ち込めば笑ってあげる」 「え…え?」 そんな…ことはないと言いたかった。だけど、思い当たる。もしかしたら…そうなの? 「あなたはなんでも顔に出るのよ。失敗したら死にそうなほど落ち込んで、周りの人たちが気になるぐらい反省してる。その反面、楽しい時の笑顔がみんなを幸せにしてるの」 「私…」 くすぐられているようで、私は居心地が悪かった。恥ずかしいような、照れから、頭をポリポリとやった。
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