3.不信

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「できた」 私は、室長に書類を承認してもらい、本部長室へと急いだ。 「芽衣子さぁん、早く早くぅ」 という声を背中で聞きながら。 本部長室へ急ぎ、ドアをノックして入ると、本部長はシニアグラスを掛けて、まだ仕事をしていた。 「あぁ、芽衣子君か。遅かったじゃないか」 私は本部長の机の前に進み出て「すみません」と一礼し、報告書を手渡した。 USBの紛失の件は耳に入っていない様子に安堵した。 「よし、じゃあ年明け一番に議題に上げよう。芽衣子君、ご苦労だったね」 本部長は、書類に目を通して、機嫌よく言った。 私は、会費の件をどのように本部長に伝えようか、迷っていた。忘れた振りが通用する相手ではない。 「よろしくお願いします。それと、先日の会費の件ですが…」 本部長の反応を見てから決めよう。そんなに関心がないようなら、なぁなぁで流してしまえ。 「あぁ、どうだ?犯人は見つかったのか?」 「あ…はい。判明しました」 「そうか、誰なんだ?」 シニアグラスを外し、誰だと聞いた時の目が怖かった。悪代官じゃなくて、こりゃ鬼平だ。 「はい、それが…あの、本部長、この件は私に任されたのですよね?」 「まあ、そうだが。それがどうした?」 「実は、この件は少し根深いものがありまして…もう少し私に預けてくださいませんか?そんなに長くはかかりませんので」
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