3.不信

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私の年末は、大掃除と年賀状の作成と実家への手土産を含む買い物で終わる。 大抵、会ったり飲んだりという友人関係は、年明け、実家に帰った時にすることにしていた。 今回の連休は4日まで。3日にはアパートに戻るから、短めで、地元の友達との約束は取りつけていなかった。 早川先輩と会えるかどうかも分からないし、スケジュールがはっきりしないまま帰省することになりそう。帰省といっても、同じ都内なんだけど。 実家では、大掃除の手伝いに駆り出される。大晦日の31日になっても終えてないなんて、人を当てにしすぎてる、と憤慨の気持ちはなんとか抑えた。大体、家が広すぎて、母の手には余るのだ。 3歳違いの弟は就職と共に自立していて、今年は帰らないらしく、未だ家にいる5歳下の妹はフリーターで、私が家に着いた時には年越しの遊びに出かけるところだった。 『なんだ。じゃあ、親と過ごすのは私だけか』と、割を食ったような気がした。 お節は5万円のものが届いていた。全く…。母はお煮染めだけを作って、お正月の準備をした気になっていて、相変わらずだなと嘆息する。 両親とありきたりの番組をテレビで観て、ありきたりの会話してありきたりな年越しをした。 年明けした頃、あや美からあけおめメールが届いた。一応、返信をした。 私は思い切って、早川先輩にあけおめメールを送ってみた。年賀状は送ったが、着くまで待っていられなかった。
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