3.不信

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翌日、元旦の朝は思いっきり寝て、10時頃起き出した。 両親は身支度を済ませていた。 「どこ行くの?」 例年、両親も昼近くまで寝ているものだったので驚いた。 「どこって、初詣よ。当たり前じゃない」 母はころころと笑い声を立てた。当たり前って。いつも2日に一緒に行ってるのに…。 「いつまでも親と一緒なんてね。あなたはそろそろ彼と出掛けることを考えなさいよ」 『はい?』私は呆気に取られていた。そんなこと…。 『付き合ってあげていたのはこっちだっつうの!』 両親は、大方、誰かに言われたのだろう。それとも、母の友人に孫でもできたのだろうか。 30になる長女に男っけ一つなく、末の娘はパラサイトしていて遊び放題。 一々身勝手な両親に呆れながら、私は、我が身のあまりの憐れさに途方に暮れた。 結婚なんて、どうしてもしたいものではない。子どもが欲しいとも思えない。 結婚なんてしたら、一時的に幸せな気分がするだけのこと。あとの人生には不満と愚痴が満たされる。 子どもだって、産まれてから数年間はかわいいで済むけど、結局は頭痛の種になるに決まってる。 私は今以上の荷物を背負うことに、ものすごく抵抗を感じていた。
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