美しい君に捧げる愛の言葉は、ひとつだけ。

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*** 突然訪れたわたしの眠りは、あまりに一方的で、暴力的で……優しかった。 大学の講義を終えて友達との食事のあと、分かれ道で一人になったその日の夜空は、満天の星空だった。 「君の美しさは、永遠にぼくのものだ」 背後から羽交い締めにされ、口と鼻に変なにおいのする布を当てられ気を失う一瞬。 ここしばらく喧嘩していた両親の顔が浮かび、消えた。 彼氏との関係もうまくいかず、友達に愚痴る日々で、次第に付き合ってくれる友達も減った。 夜、眠っている時だけは心が穏やかだった。 楽しい夢はわたしを甘やかし、辛い事も苦しい事もない。永遠に来ない朝をどれだけ望んだか、たとえこの体が朽ち果てても。 起きてる時間に未来はなくて、夢の世界に永遠がある。 わたしの幸せは、ここにある。 「おやすみ、ぼくの眠り姫」 耳元に囁く男の声が、あまりに優しく夢へ誘うから。 起きている世界に、自分に、太陽の光に、絶望して、落胆して、打ち捨てて。 「おやすみ、なさい」 わたしは喜んで、その眠りを受け入れた。 ……失礼します。 律儀な男の、律儀なノックを聞くまでは。
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