木曜日は図書室に

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彼女と出会ったのは夏の終わり。 読書感想文を書いてこいなんて、まるで小学生の夏休みの宿題のような課題のために、学校の図書室に行ったときのことだった。 適当に薄い本を選び、カウンターに持って行くとそこに彼女は座っていた。  どくん。 僕に気づいたのか、顔を上げた彼女に……心臓が一度、大きく鼓動した。 「貸し出し、ですか?」 黙って突っ立ったままだった僕に、不思議そうに彼女が首を傾げて問いかける。 どきどき、どきどき。 早い、鼓動。 「えっと……」 困ったように笑う彼女に、ずっと見つめたままだった自分に気付き、我に返る。
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