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すると、もう一人の魔女もでてきて同じことを言った。
それから、三人目と四人目も同じことをいうので、俺は仕方なしに4人の魔女を半ば強引に引き連れて国へ戻った。
城に着くと、国はまだかろうじて滅びてはいなかった。
しかし、城の周りには大勢の死骸と強国の軍勢が包囲していた。
大橋や城壁は黒煙を上げ、自軍よりも敵軍の旗が目立った。
俺は魔女たちを裏門から連れて、城の中へ入ると、変装した姿の俺を見破ったサリバンが血相変えて俺たちを出迎えた。
「もうこの国は駄目だ! 降伏しかない!」
サリバンは俺がいなかったことを嘆くと、そのまま地面にへたり込んでしまった。
俺は姫との密会に使っているバルコニーへ4人の魔女たちを連れて急いだ。
姫はいた。
涙を浮かべこちらに微笑んだ。
「よくきてくれました。4人の魔女よ」
ローラ姫が歓迎すると、魔女の一人が姫の手を強く握った。すると、淡い光がバルコニーに溢れる。
「お前たち二人は国を救いたいのだろう。助言と力を与えようぞ。永遠の眠りでの死の超越。国は栄え。争いも途絶え。永遠に生きるのだ」
もう一人の魔女の両手から光が溢れた。
「姫が眠ったならば、今度はお前が数年後に眠りにつく。お前が数年後に眠ったならば、今度は姫が眠る。さすれば、国が滅びることはない」
4人の魔女はそれぞれ贈り物を姫に渡した。
国が救われた。
強国は魔女の大いなる幻影の竜巻で消滅した。
俺と姫はお互いキスをすれば、どちらか一方が起きるということになった。勿論、どちらか一方は眠ってしまう。年もとらず。死ぬこともなく。
何十年。何百年。何千年と時が過ぎて、俺はついに姫にこう言った。
「おやすみ」と。
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