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16時。
「おっ…らっ…!おめー本気であたしに勝てるとでも思ってんのかよ」
とある河原。
「……っあぁ?……んだよ…女のくせにっ…」
一人の男と一人の女。
「あぁ?てめーまだわかんねーのかよ。おい、おめー死にてぇのか?」
タイマン真っ最中。
「ぐはっ……。お、お前…女じゃねーよ…」
「ぅるっせこのタコ!!」
トドメの一発をみぞおちに…。
男は動けなくなり、あたしはその場を立ち去る。
だっりー。
くそ弱ぇのー。
帰ってメシ食べよー。
─────
「篠崎」
名前を呼ばれ振り向く。
10時。教室の一番後ろの角。
「あんた、見ない顔だねぇ」
「昨日はうちのやつがどーも。昨日のおとしまえつけにきてやったぜ」
一人の太った男があたしに喧嘩を売る。
「辞めときなよ、そんなブタみてーな体型してよー。あたしに勝てるとでも思ってんのかよ」
売られた喧嘩はもちろん買う。
「っざけやがってこのクソアマ……いいから表出ろや!」
「上等だよ醜い豚め」
こんなしょっちゅう喧嘩を売られるあたし、篠崎環子[ シノザキ ワコ ]、15歳、中3。
なんであたしがこんなに喧嘩売られるのか。
─────
「環子、ここにいる人みーんなあんたの家族だからね」
幼い頃から両親にそう言われて育ってきた。
そして、その家族とは…。
「お嬢、俺と一緒に公園いきましょ!」
「馬鹿野郎てめぇお嬢は俺と水族館に行くんだよ!」
「ちょっと待てごるぁ!俺が動物園に連れていくんだよ」
怖い顔したお兄さん達。
…もう、お分かりいただけただろうか。
「お前ら、よせ。環子が決めることだ」
「組長!」
そう、あたしの家は極道なのだ。
なので昔から喧嘩が強い事で有名になり、幼稚園の時から男の子を泣かせていた。
家が極道だと言うことは知られていないが、喧嘩が強いことでは有名だった。
なので、ちょっとした不良ぶってる奴らは、あたしに挑戦してくる。が!
未だかつてあたしに勝てた男はいない。
いや、唯一いるとすれば…。
あたしの兄。
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