ツクリモノのカノジョ①

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ツクリモノのカノジョ①

 六年前  夕焼けが世界を染めていた。 いちめん、 燃えているみたいに真っ赤だ。 退廃的なその様子は、 どことなく古い絵画みたいだと思っていた。  その抽象的な世界で僕は立ち尽くしていた。 この場所で待っているはずの友達は見つからない。 くたびれた段ボールとその中にある薄汚れた毛布が、 僅かに昨日まで彼がここにいた事を証明だった。  ――――――置いていかれた。  胸に去来するのはそんな思い。 漠然と、 場違いだな、 と思っていた。 何せ、 相手は一匹では生きられない乳のみ子だ。 一人で歩いてどこかにいくことなどできるはずがない。  見上げた真冬の空は低く、 重い。 上から押さえ付けてくるような分厚い雲は、 赤色から黒色へ、 駆けるように変化していく。  朝の天気予報ではたしか、 今夜は雪が降るかもしれないと言っていた。 指の先が、 あまりの寒さにちょっとだけ痛い。 生まれたばかりの子猫一匹だけでは、 この夜は越せないのは、 小学生である僕でも理解できていた。  なぜ、 僕はここに立ち尽くしているのだろうか。 そんな簡単な疑問の答えが見つけられない。 昨日まで夕方の時間を共有した、 尻尾のある友達の未来を思うのならば、
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