第三の手紙

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君と出会ってから350日目。 この前手紙を送ったばかりだし、あんまり続くと君を煩わせてしまうんじゃないかとは思ったんだけど、 でもどうしても我慢できなくて書いてしまったよ。 ああ、本当に嬉しかった! 今日配られたシフト表を見て、僕は飛び上がるほどに興奮したよ。 今年のクリスマスも君に会えるなんて、もう、嬉しくてたまらない。 正直ね、クリスマスの逢瀬は諦めていたんだよ。 君は少し前に大学のほうが忙しいと言っていたし、 もしかしたら他の予定があるかもしれないから、 (君に恋人がいて、クリスマスは彼と一晩を共にするんじゃないか、なんて愚かな邪推をしてしまっていたことは、どうか秘密にさせておくれ。) きっと僕らはクリスマスには会えないだろう、と思っていたんだ。 それなのに、まさか君もクリスマスに店に入るなんて。 やっぱり君も、一年記念日であるクリスマスには僕に会いたいと思ってくれているんだね。 安心したよ。 だって、ほら、最近の君ときたら、少し僕につれないような気がしていたから……。 挨拶をしても前みたいににこやかに返事をしてくれないし、声をかけても素っ気なくて、僕と目を合わせてくれないだろう? もしかして僕は君の機嫌を損ねるようなことをしてしまったかな、女心は難しいらしいから、と思い悩んでいたんだけれど、 シフトを見たおかげで安心できたよ。 きっと全て僕の思い違いだったんだね。 そうだよね、君が僕を避けたりするはずはない。 もしかして、クリスマスに会えるという喜びを倍増させてくれようとしたのかい? そのイタズラは大成功だよ。 本当に君はお茶目だね。 ああ、どうしよう。 今からクリスマスが楽しみで楽しみで仕方がないよ。 店長によると、去年と同じように、クリスマスには全スタッフが赤い衣装を着るそうじゃないか。 ああ、思い出すよ。 去年の君の、あのあまりにも可憐で美しい真っ赤なワンピース姿を。 あの頃まだ他の仕事をしていた僕は、あの日たまたま店の前を通りかかって、 君の艶やかな姿に目を奪われ、 君の可愛い笑顔に心を奪われたんだ。 嬉しい、また今年もあの姿とあの笑顔を見られるんだね。 しかも、去年よりもずっと近くで。 会社を辞めてこの店に勤め始めた甲斐があったよ。 本当に本当に楽しみだ。 ありがとう、君を愛しているよ。
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