1人が本棚に入れています
本棚に追加
「でも、話に聞くアボカドとは全然違う味だったよ! ……って言うかコレ、キウイじゃないか!?」
シン王子は、アボカドをシンデレラに見せつける。気になった野菜達も、シンデレラの周りに集まって中身を覗いた。
「そうね」
「ショックだよ! 夢に見た初アボカドだ、女子しか食えない幻の野菜だと思ったら、キウイだなんて!!」
「アボカドは一応果物だけどね」
「どっちでも良いっ!!」
シン王子は、半狂乱になりながら答えた。
「こんなことをした挙句、俺を眠らせるなんて! 相手は相当あくどい農家だぜ」
「どうしてそうなる」
シン王子の謎の怒りポイントに、シンデレラも呆れ気味に答える。野菜達がこれからどうなるのかとそわそわしながら見つめていると、シン王子は、
「決めた!!」
と棺桶の中から飛び出した。
「アボカドを作ろう!!」
「やめなさい」
「アボカドを俺達で作って、俺達で食う! そして、アイツにも食わせてやるんだよ!!」
「私は嫌よ、昔みたいにこき使われるなんて」
「い、いいよ! じゃあ俺一人でやるもん!!」
「どうぞご勝手に」
などと、シンデレラは言いつつも、そこは結婚した仲だ。自宅の庭を自由に使っていいと、まだ花を一つも植えていない庭で作ることを促した。
「それじゃあ、アボカド作るぜ!」
シン王子が両手をガッツポーズで上げると、野菜達も、「おーっ!!」と両手を空に向けて突き上げた。ここでシンデレラが心の中で思ったのは、
「あんた達もやるんかい」
である。
――
早速借りた庭の上に立ち、泥の付いても良い服装に着替えたシン王子だったが、野菜達と首を傾げていた。それを室内から見ていたシンデレラだったが、彼らの様子が気になり、診察どころではない。患者には、後で往診に伺うと頭を下げ、庭へと移動した。
「……お、シンデレラ。ちょっと聞くだけなんだけどさ」
「何よ」
「作り方を教えてくれ」
言葉を聞いた瞬間、野菜達をギロリと睨む。何故、お前達まで作れないんだ。そう問いたかったが、思えば彼らは種が成長した後の姿。作り方を知らなくて当然だったのだ。
「退けて」
シンデレラはまず雑草の生えた畑を耕し、雑草を処理したところで、アボカドの種を一つ植えた。
「一個で良いのか? 一応百個買ってきたけど」
「何でそんなに買うの!?」
最初のコメントを投稿しよう!