26人が本棚に入れています
本棚に追加
ああ、そうか。
やっとわかった気がする。
ずっと感じていた疑問。
この男が自分に構うワケ。
自分がこの男に弱いワケ。
突然クツクツと、肩を震いだした春日を見て、有沢は眼を丸くする。
訝しげに顔を覗き込むと、春日は口元に手を当てて、必死に笑いを耐えているようだ。
ポーカーフェイスの春日には珍しい光景。
「どうした?」
「先輩」
涙目を擦りながら顔を上げると、なにがなんだかわからないという表情の有沢が眼に入った。
「俺、先輩のこと好きですよ」
たっぷり10秒間。
短いようで長い時間。
沈黙を破ったのは有沢の音の外れた咳払いだった。
「・・・・とりあえず、まぁ・・・・次もサボるか」
「そうですね」
空を見上げながら呟かれた一言に、春日は苦笑しながら頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!