第1章  姫から王子へ

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 男子校でそんなことが起こるわけはないので、みんな冗談だと笑っていたが、祐樹を実際目にして、マジかよと顔色を変えた生徒が続出した。  身長150センチと小柄なうえに、ぱっちり二重の目、さらさらの髪に華奢な体格で、どこから見ても美少女に見えた。  そしてその日のうちに祐樹姫の呼び名を献上されたのだ。    もっとも祐樹のほうは女子に間違われることには慣れていて、その呼び名を聞いてもクールに顔をしかめただけだったが。  そして性格も姫とは呼べない程度には負けず嫌いで気が強く、腕っぷしも強かった。  そのうちクラスになじんでくると、姫と呼ばれると蹴りが加わるようになった。なぜ蹴りかというと身長が低くてこぶしでは届かないからだ。    その祐樹姫は中等部3年になると、あれよあれよという間に背が伸びて170㎝を超え、顔立ちも男らしくとは言えないが中性的なきれいさが加わって、少なくとも制服を着ていれば女子に間違われることはなくなった。  
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