第1章  姫から王子へ

5/13
前へ
/224ページ
次へ
 高等部に入ると、周辺の女子高の生徒から「きれいでかっこいい王子さまみたい」とアイドル的に騒がれるようになり、とうとう王子さまの呼び名がついたというわけなのだった。 「恥じらいはいつの時代も必要だよ、祐樹。デート相手があんまりストレートに欲望あらわに押して来たら引くだろ? そこはじょうずに隠していかないと」 「そう?」  河野の発言に祐樹は首をかしげている。 「押されても別に引かないけど?」 「バカ、なんで男のお前が押される前提なんだよ。お前が押すほうだっての」 「ああ、そうか」  そういいながら、それでもよくわかっていない顔だった。  男子の欲望などこれっぽっちも感じさせない祐樹だから、それも仕方ないかもしれない。
/224ページ

最初のコメントを投稿しよう!

445人が本棚に入れています
本棚に追加