クリスマスの遺言

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 僕が運転する車で、伸介が言った。 「うお、もう夜の0時過ぎてやがる」 「明日……いや、もう今日は仕事かい?」 「勿論」  僕の問いかけに、欠伸を噛み殺した彼は朗らかに笑った。もうじき朝日が昇る。藍色の空に冬の冷たい空気が凛と澄んだ。 そんな静かな世界を窓から眺めつつ、 「メリークリスマス、新太」 「メリークリスマス」  青になった信号機に、僕は爽やかな気分で軽自動車のアクセルを踏んだ。 END.
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