Jelly

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「へえ、そうなんだ」  言葉ではさらっと返してくる割には、新しいことに興味津々といったかんじだ。実際に熱帯魚を見たら、どんな反応をするだろう。そう思うと同時に、口が勝手に誘ってた。 「潮溜まりにもいますよ。良かったら一緒に行きますか?」 「え」  すっきりした奥二重の目が、大きく見開かれた。そんなタイミングでちょうど快特が来た。  普段なら、こういう場所で知らない誰かと話をしても、五分もすれば忘れてる。そうやって今まで、たくさんの人とすれ違ってきたはずなのに、それが出来なかったのはたぶん―― この人の目に映る無邪気な好奇心が、胸がいっぱいになるような、最高の出来事を連れてきてくれるっていう予感があったから。 「あ、来た。乗りましょう」  行き先がたまたま一緒なのか、それとも迷った末に興味が勝ったのか。俺の後にすんなり付いてくる。  二列シートに横並びに座る。窓の景色がゆっくりと海に向かって走り出した。 12/04/2016 Thank you for reading. See you next story☆
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