Jelly

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2  脳にとっての唯一の栄養は糖分。理由をつけてパンケーキカフェを提案したけど、あっさり却下。パンケーキは飯じゃない、って文句のひとつでも返されるかと思えば『血液が糖分を脳に送るから、まずは循環を良くするのが優先』と、神長が回らない寿司屋に入るからびっくりした。  なんだか理由がすごいけど、おごってもらえるならラッキーだ。単純に喜んでいたら、神長にも何やら思惑があったらしい。店内奥のテーブル席にかけるなり、すぐに質問が飛んできた。 「助っ人に入ったプロジェクト、実際の進捗はどうなの」 「あー……、あれね」  高級寿司と引き換えに神長が欲しがっている情報は、社内では口に出すのもはばかる例の案件だ。  開発プロジェクトのリーダー、安藤さんは大手システムインテグレーターからうちの会社にきたばかりのやり手……のはずだった。けど、今この案件は俗に言う炎上プロジェクトというやつになりつつある。神長のチームからも、俺の他にもうひとりエンジニアを出しているから、他人事じゃないわけだ。 「正直何割まできてるのか俺もわかんないんだよね。なんでああなったかなあ。どこから間違ってるのかすらわかんないってかんじ」 「設計以前の根本部分に問題があるってこと?」
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