第2章

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食事もトイレもおふろも何もかも揃っているこの部屋で一つだけ不自由があるとすれば、外の事がなにもわからないこと。 輝の親とか兄弟のこととか、私の住んでいるこのマンションの他の部屋にはどんな人が住んでいるかとか。 私は外のことをなにも知らない。 輝は知らなくていいと言うけれど、もし輝とあたしが離れるときが来たら、あたしは何もやっていけない気がする。 輝と離れる、なんて彼の前で言ったら、どんな恐ろしいことになるか怖くて言えないけど。 出ていきたい、とは思わない。 けれど、外の世界に興味が無いわけでもない。
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