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何度も何度も見つけようと思った。
どこかにあるかもしれないと思ってとにかく答えを探したのに。
「もう、なんも分かんねぇよ……」
欲しかったものは手に入らないし、見つけたいものは見つからないし。
だったらどうすればいいのか全く分からない。
「……っ」
こいつの前で泣きたくなんかないのに涙が勝手に溢れてくる。
失恋が確定した時でさえ泣かなかったのに、何で今さら泣かなきゃならないんだ。
「……亨」
打って変わって優しい声で呼ばれると、それはそれで苛立った。
「……帰る」
「こんな時間に何言ってんだよ」
「帰るっ」
もう何もかもがどうでもよくなった。
今まで大事にしてきたものを手離してでもどこかに行ってしまいたいと思った。
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