ソーレディの歌 - Unsung suns Lovesong -

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          わたしのことを食べて下さい           わたしの命がおいしいうちに           わたしのことを愛しいうちに  魔王の一隊がキャラバンを襲い積み荷を奪った時、少女はその中に居た。  恐らくは奴隷だろう。餌の匂いに釣られ簒奪こそしてみたものの、酷く痩せこけた、およそ今食べるには値しないといった子どもたちが、どの馬車からもどの馬車からも転げ出てくる。彼女もまた数多いる積荷の、最初は単に餌の候補に過ぎなかった。  ソーレディ・メザノッテ。沈まない太陽と名乗った少女は、かつては艷やかだったろう色の抜けた金髪(ブロンド)をなびかせ、包帯で覆われた目を魔王に向けた。  肌は夜を照らす月の様に白かったが、だからか残された傷跡は一層に赤く際立つ。いくつものムチ打ちや切創、そしてケロイド状に爛れた焼印の跡が、蛇状の螺旋となって細い身体を取り巻いている。四肢のあちこちには隷属を示すピアッシングがなされ、本来は情交と繁殖の為に用いられる部位はグロテスクに、およそ見た目の年齢とは掛け離れた形状に変容を遂げていた。
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