目覚め

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「......................。」 背中が痛い。 心做しか、腰も痛い。 長らく同じ姿勢で居たのだろう。 凝り固まっているのか、身体が軋む。 眠い。 まだ眠い。 よくある二度寝のパターンの典型的な例である。 いや、でも待て。 確か今日は大事な用事があったような気がする...。 覚醒してくる意識。 一生懸命に抑えるものの、限界が来た様だ。 「................はッ!?」 窓から入る陽射しが、開けたばかりの眼を刺激する。 手をかざし、光を抑えながら、見渡す。 「................教会...??」 この景色を知っている。 よくある教会。 左右に置かれた長椅子と、真ん中の通路。 その先にある両開きの大きな扉。 しかし、見知ったソレとは違う。 「................廃墟か.........」 ボロボロの椅子にボロボロの壁。 落書きもある。 赤い文字でチームの名前でも書いてあるのだろうか。 そして積もっている埃。 おもむろに肩を見ると、黄色のコートの上には分厚い埃。 「.....そうか、俺.....ッッ!?!?」 思い出し、立ち上がろうとすると、身体に激痛が走る。 よろめき、もたれていたであろう祭壇に躓く。 「うぁー、くっそ...」 肩まで伸びた金髪を掻き毟る。 埃が舞う。 服をパンパンと、手で払う。 埃が舞う。 「...きったね。」 そう呟き、巨大な扉へ歩き出した。
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