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その後はヒロトにとって最悪だった。
『ヒロト君!!!テスラが欲しいのかい!?!?』
『おお、ヒロト君の学友!サインか、今回は特別だぞ!!』
『オー!ノー!マドモワゼル達、順番だ。順番に並んでくれたまえ。』
そこから始まるサイン会。
なぜ人気なのかは知らないが、一般人の知名度も相当あるらしい。
テラポンもユキも何度もサイン会に並ぶし、結局買えたのは3時間後。
しかもエイトが勝手に買った。
自室のベッドに寝転びながら、左手に付けたテスラを起動する。
低い唸り声の様な起動音と共に、黄色のホログラムが立ち上がった。
ジーショックの様な見た目に、機能は通話、チャットのみ。
しかし、ヒロトは少し気に入っていた。
テラポンにチャットしてみる。
「明日は...午前...8時集合...で...よろしく...きらきら...っと。」
すぐにテスラからピロンと音が鳴り、『了解ー!!』と返事が来た。
ふぅっ...。
ため息をつき、部屋の天井を見つめ、ライトに向かって手を伸ばす。
ついに学園生活が始まる。
目標は見えた。
きっとあの、薄紫色をした塔。
今度こそ、今度こそ必ず世界を救うんだ。
「がらじゃねーけどなぁ…。」
そう寂しく呟き、意識が落ちていく。
深く、深く、そして暗い闇の中へ。
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