ひとり

2/2
前へ
/135ページ
次へ
わたしは持ち込みで焼いてもらいました。 料金は格安。 火加減もよくて、もろい骨もきちんと形が残っていました。 小さな小さな白木の箱を受け取ったときに、思わず箱を撫でていました。 おうち、かえろうか。 とだけ声をかけて帰宅した。 涙はあんまり出なかった。隣の焼き場で泣き崩れているご家族よりは冷静だった。 家族は声をあげて泣いていた。 幸せな最後ってなんなのかとひたすら眺めた。 なんなんだろう。幸せな最後って。 だめだ。 布団から起き上がれなくなっている。食べたくない。眠れない。 ………お薬を飲んで寝てしまおう。
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加