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「冴島さんはどうするの?」
「…え?」
部活中、原島さんと美月ちゃんがにこにこしながら声をかけてきた。
「バレンタインだよ、バレンタイン。岩島君にあげるの?」
「…へっ!?いやまさか!」
私は心臓のドキドキと共にホイッパーのかき混ぜる速度が上がる。
「えー、いーじゃん。作ろうよー。高校入って初めてのバレンタインなんだし!」
季節はもう1月下旬。2週間後にはバレンタインだ。
岩島君との距離は…残念ながら『お裾分け』の間柄から一向に縮まっていない。
課題のお菓子を作る料理研究部と、そのお菓子を食べる運動部。
その間にいる私と岩島君。
その窓越しの関係でしかない。
最初はその関係なだけでお腹いっぱいだった。
だけど、最近、それだけじゃ物足りなさを感じてきている。
もっと岩島君と話したい…
もっと岩島君のことを知りたい…
正直、そんな想いが私の心を支配し始めていた。
だからなのかな?私は2人を見て、その提案に力強く頷いたんだ。
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