一章

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耳…と言うよりも頭の中で直接鳴り響いているようにすら感じるこの音。 言うまでもなく。 とてつもなく不快な音。 毎朝。 決まった時間に鳴り響く。 私はこの音がとても嫌い。 むしろ好きな人なんているのだろうか…? 本気で疑問に思う。 つまりが話。 私は今、枕元でぶるぶると震える目覚まし時計を乱暴に叩くところ。 無駄に大音量。 まさに爆音。 爆音の理由は私がより大きな音の目覚まし時計を探して買ってきたから。 近所のホームセンターで、近くを歩く買い物客の迷惑そうな視線を感じつつ、一つ一つ実際に鳴らしてみた。 そして一番目覚めの悪そうな物を選んで買った。 つまりが話。 私は今とても目覚めが悪い。 そして私は、とても寝起きが悪い…。 殴り付けるように目覚まし時計のてっぺん辺りを叩いた。 …少し手が痛い気がする…。 気がするのはまだ覚醒しきっていないから…だと思う。 ぁあ… 駄目だ。 また落ちそう…。 再びまどろむ私の頭に。そっと添えられた手。頭をなぞる指先がくすぐったく感じる。 寝癖でばさばさであろう私の髪を、さらさらとなぞる指先の優しさに、まどろんだ頭でも幸福を感じる。 目覚まし時計では到底目覚めようとしなかった私の頭が、うってかわってまどろみを拒みだす。 ぁあ。 多分…この幸福がそうさせるんだろうな…。 ぼんやりとした意識で私はそう思った。 この幸福を少しでも長く感じられるように、私はまた、そっと目をとじた。
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