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 島本へ。    こないだは、僕を見つけてくれてありがとう。    仕事があまりに忙しくて、目が回るとか、猫の手も借りたいとか、そんな陳腐な言葉が口をつくほどで。  連絡すら出来なかった僕を、どうか許してほしい。  仕事以外の余計な思考が排除される日常で、奇跡的に隙間が出来た時。  考えていたのは、君と過ごした学生時代の、笑っていた自分の事だったよ。  君はあの日の帰り際、僕に言ったね。  2年前と変わらない笑顔で、「おやすみ」と。  僕はその言葉を、ずっと待っていたのかもしれない。  君の口癖だったんだ。『1日の最後の挨拶は、【おやすみ】だろ』。  この2年間、1度も言われたことがなかった。誰にも。  1度もだよ? 信じられるかい?  残業して帰宅する時でも、飛び交う言葉は『また明日』。  うん、素敵な言葉だよね。明日も会えるんだ。約束されているんだ。最高の言葉に違いない。  でも僕はずっと休みたかった。  ゆっくり眠りたかった。  『おやすみ』と、言われたかったんだ。  君の言葉で解放された。  君の言葉に甘えよう。  もう僕は、やすもうと思う。  君に会えて良かった。  彼女を大切に。  君がこの世で、最も幸福であり続けますように。
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