3/14
前へ
/14ページ
次へ
  1日休みを貰った日は、一体いつの事だろう。 入社2年目の僕は、そんな疑問さえ口にすることを許されない。 新入社員として配属されたこの部署で、僕の上司になった部長は、仕事熱心で親切で、部下を大切にする素晴らしい人だった。 心から尊敬するし、信頼している。 幸い僕を気に入ってくれているため、部長に付きっきりで仕事に励み、充実した日々を送っているつもりだ。 でもこの2年間を振り返れば、僕の生活には仕事しか残らない。 休みが欲しい。 肉体が悲鳴をあげている。 定時をとっくに過ぎたオフィスには、もう僕しか残っていなかった。 溜め息をついてパソコンから顔を上げ、傍らのスマホを手に取った。 Facebookを開く。 次々と、40人程度の『友達』の投稿が上下に流れる。 以前は『いいね』を押していたが、もう、それもやめた。 『友達』といっても、他人のようなものだ。 100人も200人も、薄っぺらい友達だらけの人たちが、僕には信じられない。 そんなに友達がいても、コメントは片手ほどしか入っていないのに。 文句があるのなら、Facebookをやめればいいのだろうけれど。 僕はずっと、探している人がいるから。 彼が始めてくれるのを、ずっと待っている。 「おっ、お疲れさん! どうにかなりそうか?」 不意に背後から掛かった声に、僕は急いでスマホを片付けた。 「誠心誠意、謝罪するしかないかと……」 「まあな。とにかく明日は、一緒に回ろう」 「はい」 ポンと肩を叩かれて、背筋が伸びた。 企画書を作成し直すには、まだまだかかる。 恐らく今夜は、徹夜だ。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加