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丸い中の一ミリも満たない点で、線と点が交わり、偶然ここにいて集団になって存在してる。 「楓(かえで)! はよ~ってまた変えたのか髪の色」 「あ……啓介」 こいつとは偶然というより、奇遇とか腐れ縁とかそういうのだ。絶対必然じゃない。 初めて会った時からなにかと俺に絡み、なにかと世話を焼いてくる。 おまえはおかんかって…… たまたま父親同士が『親友』で隣の家でたまたま同じ小・中学校で、偶然! 同じ高校なだけだ。『親友』の山名啓介(やまなけいすけ)。 「あ……じゃないわ! つーかその色やばくねぇ?」 「騒つくんだよ……心が……」 「でた! おセンチ楓!」 「なんだよおセンチって」 「センチメンタルだよ…お松に見つかったらやばいぞ! それ!」 少し肌寒く感じる風と普段見る落葉樹が色づき始める頃、あの時の記憶に引き戻されてしまう。それはとても鮮やかで、匂いまで思い出してしまう程。 あれはきっと偶然じゃない。俺にとって必然だったんだと思う。 「そういや……彼女は?」 「え? あ……昨日、別れた」 「はぁ?! 聞いてない!! じゃ~~なんで俺を置いていったんだよ!」 「悪い…今言ったし」 「えぇ! なんで? あんな可愛かったじゃん!」 「振ったんじゃい……振られた 」 「あ~~またやらかしたんか?」 「ん……キスしたんだけどなんか違うくて、そっから考え事してたら彼女怒ってさ。平手打ちパーンみたいな」 悪戯で触れた感触は残ったままで、好きな子としたキスはそれを超える熱を感じなかった。
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