出逢いは不機嫌

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「ハッ!しかし……!」 近衛隊の副隊長は、生真面目に鬼武に食い下がろうとした。 しかし── 「俺達の後方を支援しろ。 わかったな……?」 この時、鬼武の不機嫌はピークに達していた。 立っているだけでも、頭がくらくらする。低血圧とはそういうものだ。 特に思い通りにならないことがあれば、なおさらだ。 明らかに声に見えざる殺気がこもっている。 「了解しました!」 鬼武にひと睨みされて逆らえる人間はそうはいない。 気の毒な近衛隊の副隊長は30名の部下とともに、土埃を立てて後退していった。 「助かりました隊長! しかしよくこの短時間で到着できましたね!」 小笠原は弾んだ声で鬼武に駆け寄る。 「ランドクルーザーで薔薇園を突破してきた」
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