#001

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すっかり舌のピアスが体の一部の様に馴染んだ頃、私の地元から警察の人が工房兼自宅を訪ねて来た。 話を聞くと、6年前の全焼火事に一家殺人後の放火の疑いが浮上したのだとか。 そんな事、今更訊ねられても何も話せる事はないというのに。 私は仕事で家に居なかった。 帰宅したら、家その他が火事で無くなっていた。 ただそれだけ。 その場にいた訳ではないのに、何を話せと。 困った様子の私に、同様、困った顔をした刑事が言う。 「いやね、僕もあれは事故だと思ってるんですがねえ… 何もないのにどうしても事件にしたがる人が居るんですよ。 まあ、取り敢えず体裁だけなんで…すみません。」 「はあ…。 事件なんですか…? こんなに………、6年も経ってから? 私も、兎に角帰宅して驚いたとしか言いようが… 申し訳ないんですが…当時余りにびっくりして… 未だに、まるで靄でもかかっているような感じで…思い出せる事は何もないと思います…。」 「ですよねえ… 家も家族も失うなんて事…信じられない位ショックでしょうしねえ…」
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