#001

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刑事は、当時の事をさらりとなぞるように簡単に話し、私が何も判らない様子を見てあっさりと帰って行った。 6年前の事故を、こうして調べなくてはいけないらしい警察も大変だなと思う。 事故で終わったはずの事を今更蒸し返して、どうしようと言うのだろう。 周辺にまで被害があった訳でない。 私の血縁類と家が無くなった事で困る人も誰も居ない。 例えば、当時何かがあったのだとして… それを探った所で、何も意味はないと思うのだけれど。 私は、口の中の炎をカチカチ鳴らしながら、細工作業ですっかり乾いた疲れ目をぎゅっと押える。 そうすると火の女神様が口の中で鉄を鍛えている気がする。 あれは何だろう。 私の大好きな銀色のハサミだ。 今はもう、血で赤黒く錆び付いて切れなくなってしまったけれど。 ふと、楽しくなって口の端が吊り上がる。 「すべて 燃えて無くなった。」
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