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学費はバイトをして自分で稼ぐので好きな学校へ行かせてほしいと頼んだ。 簡単に学費を工面できる程の金額がたまる訳もないので、浪人する覚悟でいたのだけれど… 「学生の本分は学業だ」と、バイトをする事すら禁じられていた。 月に3000円の小遣いを高校卒業まで。 高校生活3年間で1円も使わずにそれを貯めた所でどうにかなる訳もなかったので、親の決めた事に従う以外の選択肢は無く、決められた大学に進学し、決められた地元の中小企業に就職し。 自立せよと言いながら、全ての道を塞ぎ、子を家から出したがらない親に苛まれ、自分が何のために生きているのか判らないという日々を送ること25年。 毎日が死にたい日々だった私に、不意に転機が訪れたのは今から6年程前になるだろうか。 私が仕事に行っている間に自宅が火事で全焼した。 両親、祖父母、両親の兄弟とその子供たちという、大所帯がひとつの空間に共存していた事で、血縁類は私を残して一度に消え去り、遺産相続だなんだという問題も、誰とも揉める事なく私が総取り。 私は、25年の人生で足枷になっていた煩わしいものを、全て捨て去るべく… 田舎地主の家系で持て余していた、だだっ広い農用地と火事で全焼という曰く付きの実家の土地を、二束三文で売り払い、その金を元手に、二度と帰らないと決めて地元を出た。
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