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31歳の誕生日。
私は舌のど真ん中にピアスを開けた。
センタータンというらしい。
体の真ん中にしたいのなら臍でも良かったのだけれど…
より背徳感のある方を選んだ。
臍にピアスなんて、今時の若い子には珍しくない。
アイドルだって臍にピアス位開けている。
そんな退屈なものでは記憶との決別もできそうにない。
親が生きていたら、「何てことをしてくれたんだ」と、より目を剥く場所にしたかった。
私の人生で二度目の反抗だ。
暫くは化膿したが、マメに消毒をして病院で抗生物質を貰えば生活に支障は無かった。
ピアスホールが安定した時には、どれ程憑き物が落ちたような心地だったか、周りの人には判らないだろう。
31歳で舌にピアス。
単語だけ並べると何て痛々しい大人なんだろうかと、頭の片隅で思ったが関係ない。
私は舌に刺さったストレートバーベルの玉を、火の女神様に因んで炎の形のチャームに付け替えた。
これで、全て、捨てられた気がした。
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