第1話 暗殺者、拾いました。

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「じゃ、そういうことで」 再び踵を返し、少年はその場から立ち去ろうとする。 「いや、なぜ今の流れでそうなる!?」 またもや襟首を掴まれ、ダンボール箱の前に連れてこられた。 「まだ何か用?」 「いや、普通こうなった理由を聞くとか、可哀想だから家に連れて帰るとか、そういうものだろう!」 「あー……じゃあ何でこうなったの?」 後者の選択肢はそもそも頭になかったので、とりあえず前者の方を尋ねてみる。 「捨てられたのだ」 「そうか。いい飼い主に拾ってもらえるといいな。それじゃ」 三度目の逃亡を謀ろうとするが、今度は踵を返す前にがっちりと胸元を掴まれた。 「話を聞け!」 「これ以上何を聞けって?」 「だから、捨てられた理由を聞くとか、いろいろあるだろう!」 「えー、いいよそんなの。人様の家庭の事情に首突っ込みたくないし。よく言うだろ?他所は他所、うちはうちって」 「な、なんて都合のいい解釈を!この薄情者!」 面倒くさそうな少年を必死に引きとめながら、少女は大きな声でそう言った。近所迷惑になってるんじゃないかと思いながらも、少年は仕方なしに尋ねる。 「じゃあ、何で捨てられたの?」 すると、少女は陰鬱そうな表情で俯きながら、重そうに口を開いた。 「実はな、これには語るも涙、聞くにも涙の深い事情が……」 「あ、長くなりそうなら要約頼む」 「えぇー……」 あまりにノリの悪い少年に、少女は疲れたような顔をする。疲れるのはこっちなんだけどな、と少年は内心呟いた。
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