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「ああ。本当に、キミは手先が器用だね」
少女と瓜二つの顔をした少年は、そう言いながら頭をなでる。優しく微笑んだ顔はどこか中性的で、男モノのジャケットを羽織っていなければ、向かい側にいる少女と見分けがつかなそうだった。
「えへへ、褒められた」
嬉しそうに、少女が目を細める。それを見た後で、少年はまじめな表情で顔を上げた。
「それで、そろそろ話してもらえますか?俺たちを、呼んだ理由を」
少年の視線の先には、大きなデスクが置いてある。少年の声を聞き、そこに座っていた人物がゆっくりと立ち上がった。
「ええ、分かりましたわ」
すらっとした長身の女性は、肩にかかった長い髪を払いながら答える。凛としたその顔は、研ぎ澄まされた刃のような静謐さをやどしている。
「先刻、放った『魔術師殺し』たちが、敗れました」
それを聞くと、少年は驚いたように目を開いた。
「まさか?彼らを倒せるだけの実力があるというのですか?その、秋崎深紅という者は」
「いいえ。どうにも彼女の他に、こちらの妨害をしてきた人物がいるようですわ」
彼女はそう言いながら、デスクに置いてあったタブレットを手に取る。
「では、全滅……」
「いいえ。わたくしの放った『魔術師殺し』たちは、全員気絶していたところを、警察に連れて行かれたようです。おかげで、彼らを釈放するのに、手間がかかりましたわ」
少年は、女性の言葉に眉をひそめる。
「その人物とは、一体?」
「ちょうど、監視カメラの映像の一部を、入手しました。こちらです」
女性は少年に向かって、タブレットを差し出した。少女は切り取った人型で遊んでいたが、それを見ると唐突に席を立ち、少年の隣に座る。
「ねえ、どんな人?私も見たい!」
そう言いながら、少女は画面を覗き込む。その瞬間、彼らは思わず言葉を失った。二人とも、表情を引きつらせながらタブレットを見ている。
「あの……これは、何ですか?」
その画面には、パンティストッキングを被った少女が、玩具の剣を振り回しているところが映っていた。
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