第1話 暗殺者、拾いました。

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「その人物が、彼らを一人で倒したようです」 「……え?それマジですか?」 「マジです」 戸惑う少年に向かって、女性はいたってまじめな顔で頷く。 「だってこれ、こんな……」 「こんな、ブタさんみたいな顔してる人にみんなやられたの?変なのー」 そう言いながら、少女は画面を指でいじる。すると、画面の人物の顔がドアップになり、少年は思わず吹き出しそうになる。 「ちょ、ちょっとやめて?面白いから」 少年は咳払いをした後で表情を戻すと、タブレットを女性へ返した。 「では、俺らの仕事は……」 「ええ。この人物、そして秋崎深紅を暗殺することですわ」 感情を一切感じさせない顔で、女性は淡々と言った。 「魔術は、我々由緒ある血を継ぐ者のみが、使うべきモノ。おいそれと、どこの馬の骨とも知れぬ連中が、使ってよいものではないのです」 一度言葉を切った後で、女性は「頼めますね?」と尋ねる。是非を問わせぬ口調に、少年は微笑んだ。 「ええ、お任せください。我々兄妹が、あなたのご希望に添えなかったことなど、ないでしょう?」 そう答える少年の隣で、少女は再びハサミを手に取る。少女はそれを、先ほど作った人型の首にあてがった。 「…We all fall dawn!」 少女は歌うように言いながら、ハサミを持った右手に力をこめる。チョキン、という音と共に、人型は首を失った。
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