1人が本棚に入れています
本棚に追加
―15―
騒動があった次の日の朝、空木の部屋のチャイムが鳴った。まだ朝食を食べる前だった空木は、不思議に思いながらも玄関の扉を開ける。そこには、ツインテールの少女が、モジモジとしながら立っていた。
「どうしたんだミク?何か用か?」
「え、えっと……その、用……ってほどでも、ないんだけど」
頬を赤くしながら、深紅はボソボソと口にする。
「そ、その、昨日は……あ、あの……」
今一つ要領を得ない喋り方で、深紅は途切れ途切れの言葉を紡ぐ。
「なーウツギ、朝食はまだかー?」
その時不意に、空木の背後からシロの声が聞こえてきた。彼女は短い廊下を渡りながら、空木の背後からひょっこりと顔を出す。その視線が、深紅とバッチリと合った。
「お、ツンデレ同級生!」
「だ、誰がツンデレよ!?っていうか、あんた誰よ!?」
「私か?私は……そうだな……」
空木を間に挟み、騒がしく会話がなされる。空木はそれを聞きながら、げんなりとした顔をしていた。
「訳あって、住む場所がなくてな。空木に、衣食住を提供してくれるという条件で雇ってもらってる者だ」
「雇う?住む場所のない女の子を雇う……って、まさか!?」
深紅が、汚らわしいものでも見るような目を、空木に向ける。それを見ながら、「たぶんものすごい誤解をされてるんだろうな」と、空木は思った。
「シロ、もっとちゃんと説明して」
「む?それは、キミが私にしたあんなことやこんなことをか?」
「なっ……!?」
それを聞いた瞬間、深紅は顔を真っ赤に染める。すると彼女は、プイッとそっぽを向いた。
最初のコメントを投稿しよう!