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「……けど、まいったわね。こういう風に何度も刺客が送られてきたら、この前みたいに他の人も巻き込みそうだし……そ、それに、あんたにも、迷惑が……」
モゴモゴと言いよどみながら、深紅はチラチラと空木の様子を気にする。シロがその様子を見てニヤニヤしていることに気づくと、深紅はキッと目を三角にした。
「僕のことに関しては、今更だと思うぞ。これはたぶん、ミク一人を狙った襲撃じゃない。僕も魔術について知りすぎた身だし、ターゲットにされていたんだと思う。とはいえ、こう何度も襲われてもな……シロ、相手に心当たりはあるか?」
そう尋ねられると、シロは考え込むように眉根を寄せる。
「まあ、ある程度の予測はつくが……それでも、特定するのは少し難しいだろう。本人たちに口を割らせるのが、一番早いと思うが……どうする?」
シロは、倒れている二人を見下ろしながら尋ねた。空木はそれを見て、小さくため息を吐いた。
「仕方がない。ひどく気は進まないけど……尋問しよう」
「……本気なの?まだ、こんな子供なのに……」
空木の顔を、深紅は不安げに見つめる。
「子供でも、暗殺者であることに代わりない。今はまだいいが、その内学校とか、ミクの家族まで狙われる可能性もある。早いうちに手を打って、できれば穏便に解決する方法を探そう」
彼はそう言いながら屈むと、少年たちの目の前でヒラヒラと手を振る。しかし、二人が目を覚ます気配は一切なかった。
「それにしても、ずいぶんグッスリだな。シロの腹パンと首チョップが相当効いたらしいな。あれって、慣れてないと一撃で意識を失わせるのは難しいんだろ?さすがだな」
空木がそう言うと、深紅も感心したような顔でシロを見る。この時ばかりは、彼女も素直にシロの実力を認めているようだった。
「え?ああ、うん。今回はうまく一発で落ちたな。いつもは、二、三発叩き込むんだけど」
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