五章 背徳の讃美歌

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・ 尖った先端の亀裂。 艶を帯た猛々しい性器に手を添えてマリアは口付ける。その先を口にすると、小さく尖らせた舌先をチロチロと這わした。 グレイはその途端、マリアの口内をえぐるように犯す。 「――!…ぐっ…んっ」 「あまり欲しそうには見えんな…ああ? 無理に欲しがる必要はない、マリア…」 「……あっ…やっ…欲し」 躰を急に離したグレイにマリアは懇願の眼差しを向ける。そして今度は激しくグレイのそれを口に含んだ。 喉の奥深くまでくわえ込み夢中になって顔を前後に揺らす。 仁王立ちのキリストに奉仕する女神達の恍忽の表情。 背徳の書に画かれていたその情景がぼんやりと頭に浮かぶ。 マリアの唾液が溢れグレイの男根に絡みつき、全体が磨かれた陶器のように艶やかだった。 濡れた音が広い礼拝堂に響き渡る。 膝を立ててグレイを貪るマリアのそこからは透明な液体が糸を引きながら、大量に滴り落ちていた… 「ふ…狂った乙女、か……この図も新しく書物に載せてみようか…」 さも可笑しそうにククッと声を殺してグレイは笑う。 魔物の手に落ち自ら餌となる… 人間は実に滑稽な俗物だ── グレイは冷笑を含んだ微笑みをマリアに向けていた。
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