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部室で向かい合った岡島は、ひどく落ち込んでいるように見えた。黙って、抱えたバッシュの紐をいじくっている。えらくのろのろと着替えていたので、おれも付き合ってゆっくり着替え、皆を帰したところで話してみろと切り出したのだが、何も言わずに五分は経つ。
根負けして、おれは口を開いた。
「……どうしたんだよ。きょうの、バレー部のやつがなんか、関係あるんだろ?」
そういえば、おれが教室に寄ってストレッチ行くだろ、と声をかけたときも様子はおかしかった。練習を休んだことのない――何せ、よく休むやつ、とじきにやめるやつ、はうちの部では同義だ――岡島らしくなく、気の進まない様子だった。
「クラスでなんかあったのか。……話したくないんなら、きかないけど」
岡島は下を向いてしまい、首を横に振る。
それからなにも言わない。帰るか、とため息まじりに言いかけたときになってやっと、岡島は思い切ったように呟いた。
「おれのせいなんだ。おれが、あいつのことすきだって言ったから」
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