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「とりあえず寝ません? 起きたらまた考えようよ?
仕事穴あけるワケにいかないだろ?」
「これで行くの? 俺」
「そうだよ、仕方ないじゃない?
ドラマとかじゃなければそれで行って。ほら、ハロウィンも近いしなんとかなるんじゃないの?」
「岸桂太、今日はドラキュラメイクです、って?」
「そうだよ、大丈夫だって、そんなに悩まなくても。なかなかチャーミングよ? それも」
「ほんと!?」
「ほんとほんと」
「よっしゃぁ!」
単純だなぁ。褒めたら途端に笑顔になりましたよ。
普段から頑張り過ぎるこの人は、本当はゆっくり休んでもいいくらいなんだけど、だけど本当に休めば色んな人に迷惑をかけたって、後から自分を責めるに決まってるんだ。
「だからもう寝ましょ? ほら、歯磨いてきなさいよ、待っててあげるから」
「泊まってくれんの?」
「泊まってきますよ、こんな時間に帰るのヤだよ俺だって。
だからほら、早く行ってきなよ」
まぁ、正直まだ半信半疑だったけど。
だって普通の人間がいきなりドラキュラになっちゃうなんてさ。
だけど桂太がそう言うならね? そーなのかなって。
また眠たくなってきたし、考えたって仕方ないから、桂太と一緒にベッドに入って「おやすみ」って何となく、ガキの頃を思い出して、二人で肩を並べて眠りに就いた。
……だけど、それから数分後。
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