7人が本棚に入れています
本棚に追加
やっぱり私、なんかぎこちない。
「周ちゃん・・・・・・」
「ん?」
「ううん」
このまま口を開いてしまったら、何度も中断してしまいそうで、私は余計なことは言わないことにした。
「どうした? やめる?」
「違う・・・・・・興奮させて?」
自ら服を脱いで、裸になって横たわった私は、深呼吸をして目を閉じた。
ねぇ、好きな女をお金で抱くってどんな気持ち?
集中力が無い中、周ちゃんの指が私の中に入ってきて、私はやっと行為に集中出来るようになった。
「良かった、声出るんじゃん」
「出るよ、緊張してるだけ」
「全身舐めていい?」
ドキッとするような、ヒヤッとするような、なんとも言えない気分になった私。
「えっ? いや・・・・・・汚いよ」
「汚くないよ」
言われるがままにしていた私は、申し訳なさ半分と気持ちよさ半分の中で、妙な背徳感を覚えていた。
時々頭に浮かぶ、諭吉二枚。
私は自分の中にある自尊心を振り切るように、自ら周ちゃんのモノを触った。
「紗希、大丈夫?」
「大丈夫。早く入れて?」
どうしてここまでムキになっていたのか、私にも分からない。
いつもきっと、簡単にセックスが出来ると思われていた私。
セックスを求められることで、自分は必要なんだと言い聞かせていた私。
セックスの出来ない私は、本当に価値がないと思っていた私。
そんなふうに簡単に誰とでもしてきた私に、周ちゃんはお金をくれると言った。
私は今まで無償でしてきた行為に金額が付いて、それはきっと今までよりも私の価値が上がったということで、ならその高い価値を手に入れたくて・・・・・・
だから私に、価値をちょうだい。
お金を出さなきゃ手に入らないという価値を早くちょうだい。
何故か湧き出る虚しさに気付かないフリをして、声をあげた。
どこか間違ってるという思いをかき消すように、周ちゃんを求めた。
「イクよ」
「うんっ・・・・・・」
普通に気持ち良かった。
率直な感想だ。
なのに泣きそうなのは何故なのか。
後ろめたいのは何故なのか。
終わった後、周ちゃんは「おいで」と言って、腕枕をしてくれた。
「周ちゃんって、ソープ行っても、そうやって優しいの?」
「優しい・・・・・・? まぁだって、仕事は何してたって女の子だから」
「・・・・・・うん」
最初のコメントを投稿しよう!