ファーストキス

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なんだこれなんだこれなんだこれ 何なんだよ!! 頭のなかをグルグル回る「何だこれ」 今にも煙を吹き出しそうな頭と、火を吹き出しそうな程に熱を持った顔。 そんな危機的状況の僕を放り出して、彼女はポフッと軽い音を立てて再び布団へと倒れ込む。 「何だよ……これ」 柔らかな感触と余韻に頬を赤く染めながらも、僕は考える。 何だこれって、何だ? 何だこれって何なんだよ。意味が行方不明になってるじゃ無いか。 そもそも、何だこれって何がどうなって何だこれ? いや、待つんだ愚かな僕! 今はそんな事にかまけている時間は無いはずじゃあないか? よし。 落ち着いて整理しよう。 朝起きた僕はいつも通りに起き上がろうとしたけど、それを邪魔する女の子がいて困っている。 と、こんな感じか? な、ななななかなか羨ましい悩みじゃないか。 母さんより産まれ出でてはや16年になろうとしている僕、『藤原 龍樹(ふじわら たつき)』は、明日には晴れて高校生の称号を手にする訳なのだが、今までの人生経験の中には女の子と仲良くしたと言う記憶は無い。 だからと言って友達がいない訳でもない。しっかりと女の子の友達はいるし、幼馴染みの女の子だっている。 別に特別な性癖を持っている訳でもないし、女の子は好きだ。男友達といる時間も大好きだ。 つまり何が言いたいのかと言うと、下世話な話になってしまって申し訳ないのであるが、僕は『彼女』という存在が隣にいた事が無い。 いやいやまだ若いんだしとか近所のおばちゃんは言うけれども、同じ年とか年下の後輩でさえも彼女がいる勝ち組に昇格した事例を考えれば、僕の抱える問題が小さくは無い事は分かるだろう。 そんな僕の前に、『まお君大好き』とか言ってキ、キスしてくる女の子が現われたら…… ん? ちょっと待て、いやいやいや! おかしいだろ! 何だ? どういう事だ? この目の前でスヤーって寝てる可愛い女の子もしかして……
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