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寝起きの姿、朝食、庭で犬と戯れる。テレビを見て、本を読む。そんな日常が撮られているだけで、他には何という事はない。でも、毎日のように撮られていたということは、この子は学校には行っていない。
「一番古い画像を渡して、探して貰ったら、この子は行方不明の少女だね」
行方不明の少女は、十年もの間、写真で撮られ続けていた。
他のファイルを開くと、そこには違う少女が同じように記録されていた。
「須賀は口封じだと言いました。これは、どこの犯罪でしょうか?」
須賀はどうして、この事件を追っていたのであろうか。
須賀の家の内情を調べて貰うと、須賀には妹がいた。しかし、妹は小学二年生の時に、行方不明になっていた。事故死ともされていて、キャンプに行った先の川で溺れたが、遺体が発見できなかったとあった。
須賀は妹が生きていると確信して探していたのか、だから妹が死んだという両親を信じる事ができなくなった。
須賀には今も、年の離れた妹が二人いた。最初の妹が事故死となってから、母が産んだ子供であった。その妹も、もうすぐ幼稚園にあがる。
又妹は、親に事故死とされてしまうのではないのか。親を疑う須賀は、自力で調査を始めたのだ。
「これだけ映像があれば、場所が特定できるのではないですか?」
でも、映像には景色が全く無かった。背景には山すらもない。
「相澤さん、女性の友達はいませんか?」
「どうしてそうなる。俺も大人の友達はいるよ」
これは、大人の友達では無理だ。
「仕方がない」
俺は、北川 エリーに電話してみた。事情を説明すると、エリーはかなり怒っていた。四区で生まれたエリーだが、どこか正義感が強い。エリーには、監禁して女性を育てているなど、許せる行為ではないという。
「エリー。景色でも建物でも場所が特定できない。でも、着ている服が、すごく沢山あって、高そうだ」
エリーは服の画像を送ると、可愛いを連呼していた。
「雑誌に載ったものとか、有名なデザイナーとかショップのものね。特に、このゴスロリの服は有名」
かなりレアな服も混じっているという。
「ありがとう、エリー」
エリーは、礼はいいので、この女子を助けさせて欲しいと申し出ていた。助けて欲しいではない、エリーは自分で助ける気であった。
「印貢、服か……調べてみるよ」
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