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「ううん、本部に連絡しておくよ。でも、映像だけだからね……」
映像だけでも証拠にはなるのだろうが、本人を救出しないと意味がない。
庭で犬と遊ぶ、外に出るのはその時だけかもしれない。でも、近所の人が見かける可能性もあるだろう。
「相澤さん、急がないといけないかもしれません」
ふと、身元不明死体の服の検索をしてしまい、そこで、同一人物を見つけてしまった。これは、育ってしまったので殺されたのではないのか。
画面を見た相澤が、女性の死因を調べていた。
「凍死だ」
タンクトップに半ズボンであるが、真冬に放置されて死亡したようだ。
「……酷いね」
少女は人形ではない。よく犬や猫をペットショップで購入し、育ってしまうと保健所に持って行こうとする人がいるが、それを人間でもしてしまうのか。
「急いで監禁場所を特定しよう」
相澤は、どこかに電話をしていた。
須賀がこの情報を入手したということは、この犯罪が身近であるという可能性は高い。ならば、この四区が一番怪しい。
そっと藤原に画像を送信してみると、伊東から電話が掛かってきた。藤原は俺の親友で、四区にあるヤクザの息子であった。伊東は、藤原の頭脳と言ってもいい。
「印貢、画像データが重いね」
でも、伊東はほぼ全部に目を通したらしい。
「藤原は、今、ちょっと……」
藤原がすぐに出ないということは、喧嘩か彼女であろう。俺は時計を見て、後者と判断した。
「ああ、いいよ。で、四区でこういう商売はあるの?幼児を攫って育てるみたいなの」
伊東は何か検索しているようであった。
「まあ、似たのはあるけど、これは違うかなあ。殺すまではさせないよ」
四区でも、完全に監禁して育てるというのはないらしい。
「……でも、ひとつ、関連していそうなのがあってさ。藤原と相談してみるよ」
俺には情報を流さないらしい。
「俺に教えないの?じゃ、死霊チームに行こうかな……」
「印貢……必ず返事をするから。俺が藤原と相談してからにして。俺、怒られるからさ」
どうも、伊東は俺には話せないらしい。仕方なく電話を切ると、相澤に睨まれていた。
「印貢、又、藤原君に連絡したね?」
俺は、睨まれて頷く。ここで、嘘を言ってもすぐにバレる。
「相澤さん……」
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