第一章 消える景色

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「……サッカー、出来ないのか?」 「はい。印貢先輩、俺の分までサッカーも頑張ってください。 俺、すごく楽しかった」  そこで、泣かないで欲しい。 俺もつられて、泣いてしまった。 「……楽しかった?」 「はい。久芳先輩も、秋里先輩も、倉吉先輩も強くてかっこよくて、 でも俺を仲間だと言ってくれて本当に嬉しかった」  仲間に認められるということが、どんなに嬉しい事なのか、俺も知っている。 それを失う辛さも、俺は知っている。  犯人を殺してやりたい。 サッカーをすることや、天狗としての仲間を失った少年に、かける言葉がない。 「印貢先輩、泣かないでください。俺もつられますので」  俺がつられて泣いたのだ。
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